賃料という視点から街を考察すると、全国各地で起きている厳しい現実を見ることができます。かつて、地方出身者で、かつ一次取得層(はじめて持ち家を買う層)の家族が短期間のうちに大挙して入居したエリア、つまり都心から遠く離れたニュータウンや郊外と呼ばれるエリアが、現在、悲惨な状況になっています。これは、実際に東京の多摩ニュータウンや大阪の千里ニュータウンを観察してみれば、誰にでも実感できることです。そういうニュータウン系のエリアに共通する因子とは何か。それを考えてみたい。これら戦前は原野だったところを開発して造成された街の特徴とは、公営住宅を除き、ファミリー層向けの賃貸住宅のマーケットの形成が貧弱なことです。要するに、賃貸マーケットとしては、建設費に対して採算性が低いエリアだということです。つまり、賃料が著しく低いため、資産としての位置づけができないのです。したがって、数百兆円もの資金を抱えるファンドも、こうしたエリアにはまったく見向きもしません。投資の対象にならないからです。ちなみに、ニュータウンに限らず地方都市の特徴を、統計上は持ち家世帯比率という尺度で考察することもできます(持ち家世帯比率の逆が、賃貸世帯比率です)。参考までに説明すると、たとえば埼玉県羽生市の持ち家世帯比率は約80%ですが、東京都港区では49%、新宿区に至っては36%しかありません。ただし、賃貸世帯比率には、公営住宅も含まれることに注意が必要です。
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