二〇〇〇年に完成した「石の美術館」は、かつて宿場町として賑わいを見せた栃木県那須町の、旧奥州街道に面した一角に建っている。建物の機能は石を素材とした美術品や工芸品の展示館であるが、この作品が「石の美術館」と名づけられているのは、これが単に石にかかわる展示館だからという理由だけによるのではない。もともとこの敷地には、大正時代の組積造の石蔵が三つ残されていた。そうした米の貯蔵場として使われていた石蔵建築を、建築家はギャラリーや茶室などに再生させることを考えたのである。
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建築家は単に展示物だけでなく、それを包み込む建築もまた、石を主題にしようともくろんだのである。レコード、CDで「トリビュート盤」という形式かおる。もともとはある偉大なミュージシャンに対して、敬意を表してつくられた盤のことで、現在活躍中のアーティストが参加して話題を呼ぶことが多いが、こうした歴史的な石蔵を現代の建築家が再生させようという試みにも、どこかそのような音楽の「トリビュート盤」に近い雰囲気があるように思われる。