私が今までに調査に行った中で、トイレで「これは悲惨だ」と思ったのは、大きな民間木造アパートでのことです。共同の玄関の扉があって、入りますと奥までずーっと暗い廊下が続いています。玄関で靴を脱いで上がります。左手に管理人さんのお部屋、その隣りに共同の洗濯場、そしてその隣りに共同の便所があるのです。その共同の便所が、向こう側は男性用の小便器がずらっと並んでいて、こっち側に大便器がずらっと並んでいるのです。
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私は、そこにずーっと調査に入っていましたので、どの世帯も全部調査し切ろうと真面目に考えていましたから、調査票の回収できないような世帯を残すまいと思って、そこの寒い廊下で夜遅くなっても、じーっと待っていたのです。ときどき、親切な人が来て、「おねえちゃん、いつまで待ってんねん。寒いやろ、うちに入っとり」とか言うてくれはって、部屋の中で待たせてくれはるときもありましたが、その待ってるときに、もう耐えられなくなって、便所に行きます。